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中島慶八郎氏の医療ブッタ斬り

過去のコラム

  • 第3回
    薬局のポイント制

    近頃では、従来現金で支払われていたものを、クレジットカードで支払うことが多くなってきました。クレジットカードの普及に伴い、医療費の支払も、全てではありませんが、一部の大病院でクレジットカード支払が出来るようになってきました。また、薬局でも同じように、クレジットカード支払が増えつつあります。本来、診療報酬には税金が投入されているため受診を経済的に誘導することは禁止されておりますが、支払にクレジットカードを使用する際、発生するクレジットカードのポイントは「経済的な誘導」に該当するのか、否か?ということが中医協でも昨年議題に上り、検討されました。

    この件については、平成24年9月14日付で厚労省保険局医療課長より通達が出ており、JCB、DC、VISA等々のクレジットカード会社の支払時に、そのクレジットカードのポイントがつくことに制限をかけることは難しいが、受診・診療の誘導に使われるのは好ましくない。と記されています。

    又、これを受けて9月28日に日本薬剤師会も改めて各都道府県の薬剤師会に通知を出しています。要は買い物する度に付与されるクレジットカード会社のポイントに対する制限はかけられないが、○×薬局独自のポイント制度は誘導になるので不可だというのが薬剤師会が示す見解であります。「調剤にポイントがつきます」という看板がある薬局を時々見受けますが、大変微妙な表現をされていると感じます。「当店は、お支払にカードをご利用いただけます。」位が良いのではないかと思います。

    従来、消費税が10%以上となってくると医療機関は消費税を少なくとも10%以上は取らぬよう日本医師会が動くと思われますが、その時、薬局独自のポイント制度を実施している薬局は医療機関と見なされないことが予想されます。

    ポイント制度は医療機関か、商売屋か、の分岐点になる一つの目安だと思われます。

  • 第2回
    後発医薬品

    平成24年4月診療報酬の改正で薬価が6.25%下がり(約5,000億円)調剤技術料に、その内300億円が主に後発品と在宅に振り分けられました。そこで今回は、後発品を取り上げてみます。今回の改正は、後発品加算を取らないと薬局経営が厳しくなるわけです。

    先発医薬品(以下、先発品と記す)は、一般的に特許申請してから25年で特許が切れます。
    しかし、医薬品として承認される迄には、基礎研究、非臨床試験、臨床試験、承認申請等々、莫大な金額と長い期間がかかります。

    ところが、後発品メーカーは臨床試験等が不要で、品質試験と先発品との生物学的同等性を証明する試験を行えば医薬品として承認されます。従って、承認迄のコストが先発品メーカーとは格段に異なります。そこで、厚労省は同一成分の後発品が10社以内の場合は、先発品の薬価の7掛け、10社以上発売された場合は6掛けで薬価を設定しています。ご存知のようにアムロジンは35社位から発売されましたね!!
    一度、薬価が決まりますと、後は2年に一度販売価格調査が行われ、薬価差分が引き下げとなります。今回も後発品と先発品の薬価が同じや、先発品の方が安価になった物も生じました。厚労省が後発品使用を促進するのは、医療費の中の薬剤費を減少させるのが目的なので、後発品の数量ベースの計算上では同薬価または、逆ざやの後発品は除く事としています。
    さて、本題に戻って後発品の使用率の全国平均は数量ベースで23.2%、金額ベースで9.4%と言われています。
    今回の改正は以下の通り。

    改正前            改正後
    20%以上 6点     → 22%以上 5点
    25%以上 13点    → 30%以上 15点
    30%以上 17点    → 35%以上 19点
    これを見ると、30%以上にすることが、いかに大切ということが分かります。
    厚労省は後発品普及のために、処方する医師に対しては、(1)処方せん記載内容の変更と(2)一般名処方に対して加算をつけました。薬剤師に対しては(1)数量ベースの計算式から漢方薬・生薬を除外(2)患者さんに後発品情報を提供して理解を求めるようにしました。特に後発品処方で薬の値段が安くなる事が説明される必要があります。

    医師は薬剤師が後発品を選択する事に、不安を感じています。患者さんの中には安い薬は大丈夫か?と言う不安があります。したがって、薬剤師は後発品を選ぶに当って当然メーカーが信頼出来るかを確認し、その上で決めたら、処方した医師にも連絡しておく事が良いと思われます。
    先発品でも後発品でも医薬品である事には間違いありませんから、過去のデータの確認や市販後のフォローを十分行う必要があります。アレルギーや副作用は、医薬品である以上ありますが、後発品だからと言う理由にはなりません。疾病に対して処方を間違ったり投薬量を誤れば先発品・後発品に関係なく重大な副作用が生じます。疑義照会の重要性は先発品も後発品も変わりありません。
    後発品を普及させることは、患者様にとって安価になる事、ひいては医療費の抑制につながる事になり、薬剤師の医療人としての一つになっています。我が国の薬剤師は、他の先進国の薬剤師のように代替調剤権を持っておりませんが、私は後発品を選ぶのは薬剤師の調剤権だと思っています。医師や患者さんが我々の力を信じて安心して良い医療が実践されるようにがんばって行こうではありませんか?

  • 第1回
    医療行為

    本来、「医療行為」とは健康に関する広範囲な領域で、学会への参加、医学の研究、疾病への診療および予防等々でありますが、「医療行為」となると医師が行う行為となっております。
    現在、慢性疾患の患者の増加、医師不足、医師の偏在等々によって看護師をはじめとしたコ・メディカルがある程度の医療行為を行っても良いではないか?という動きが加速しています。

    例えば、

    1. 特定看護師(仮称)
    元々、看護師は補助看法によって医師の包括的指示の下での医療行為が可能となっています。一定の教育を受けたレベルの高い看護師は医師の指示がなくても独自の判断で医療行為が出来るという資格で、現在チーム医療検討会で審議されています。どんな教育を何処で行い、誰が評価するのか。等々、問題は山積みで賛否両論です。

    2. 歯科衛生士
    従来の1年教育から3年以上に教育を延長し、正常な歯に関しては歯科医師の指示がなくても歯科衛生士が独自の判断で口腔ケアをしても良い事が決まりました。
    (ただし、法的にいつから出来るかは不明です。)

    3. 介護福祉士
    平成27年3月以降卒業し、資格を得た介護福祉士は、吸痰行為等の医療行為が可能となった。現在の介護福祉士は、一定の研修を受けることによって実施が可能となる。

    これらのように、コ・メディカルの医療行為が認められて来ているが、そもそも医師の包括的指示の範囲が曖昧で、その範囲は所謂グレーゾーンと言われている。薬剤師、栄養士、等々が医療行為に関して検討されていくと思われるが、目的はあくまで患者さんの利益の為であり、又、その行為に対する責任を今まで以上に負うことを覚悟せねばならない。

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